秋音


伸ばした手に重ね合わせた思い出は
ふらっとさらわれて
掴み取ることもできない僕は
もう一度空を仰いだ

風を待ち続ける雲に悲しみを与えて
雲を流し続ける風に哀しみを隠して

生まれた雨粒と吹き抜ける風を
浴びすぎた遠ざかる秋は
代償に音を失った